白い鼓動灰色の微熱
おそらくここにいるメンバーの誰もがその図式を頭の中に描いていただろう。
 
宮田は先に立って、彩世を、いや、彩世の双子の兄である彩人を庇おうとした。

「確かに見覚えはある。でも、関係ないですよ。言葉を交わしたことさえないんですから。分かったら帰ってもらえますか?」

「いや、君達が唯一の足がかりなんだよ」
 
言う、清水を宮田は押し出した。

「知りません。帰ってください」
 
大塚刑事も、他の二人のメンバーに、押し出されるところだった。
 
彩人はフラフラと、床にへばった。
 
彩世が表情一つ変えず、カエルの解剖をしていたことを思い出していた。
 
今思えば残酷なことではあるが、そんなこと、男の子なら一度くらいやっていそうな悪さである。
 
彩人は、それが異様に怖かった。
 
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