白い鼓動灰色の微熱
そのとき思ったことを思い出して、彩人は頭を抱えた。

「大丈夫か?彩人」
 
扉を二枚とも閉めた宮田が、振り返ると聞いてきた。
 
彩人が今の話に一番ショックを受けているのは、宮田じゃなくても分かっていたようだ。

みんなの目が、彩人に向けられていた。

「ああ。大丈夫だ」

「お前の双子の兄弟、何て言ったっけ?」
 
宮田が、訊きにくそうに言った。

「彩世だ」
 
彩人は宮田を睨み上げて答えた。
 
疑われていることがぴりぴりと伝わってきて、気分が悪かった。

「それ以上何か訊いたら、オレは帰る」
 
いつにない、彩人の我がままを、宮田は黙ってきくことにしたようだ

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