白い鼓動灰色の微熱
彩世は今度はリビングから庭に出て、前の女の美しかった手を埋めたときのまま、地面に突き立てておいたスコップを手に取った。

どこかにしまっておかなかったのは、そう間をおかずして、このときが再び来ることが分かってしまっていたからだった。

もっと早く気付いていれば、二つの手はまだ綺麗なまま動いていたのに。

彩世は自分が後悔していることに気付いて、自分に驚いた。

少なくとも、完璧な保存方法を見つけるまでは、やめておいた方がいい。

それは分かる。

だけれど、それを探し出さないうちに踏み切った自分の行為までを、自分は否定しようとしている。

そんな。

束の間でも、この子達に自由な時間をあげれたって言うのに。

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