白い鼓動灰色の微熱
一卵性双生児なのに。

自分でも、彩人を見ていると、鏡を見ているように思える。

どこかが違うようにはとても思えない。

 
彩人のファンらしき子達が彩人に何か話しかける。

 
彩世はビールのカップを取ると、ほとんど無意識に口に運んだ。
 
その途中で、彩人にカップを奪われる。
 
彩人は遠慮なくカップの中身を煽ると、一気に半分ほど飲んでしまった。

「旨い。ライブ後の一杯は格別だねっ」
 
言うと、女の子達がどっと笑った。
 
彩世はカップを持った彩人の手を見ていた。
 
細く長い指、整った爪の形。
 
男にしておくのは惜しいようなしなやかで綺麗な手だ。
 
その手に、他の手が重なった。
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