白い鼓動灰色の微熱

コエ

居間に戻ると、冴子が眠そうに目をこすっていた。
 
もう、睡眠薬が切れたのかと、驚いて見ていると、

「あれ、寝ちゃったんだ。珍しい。あたし、睡眠薬なしで寝られない性質なのに」
 
冴子は眠ってしまったことを恥ずかしく思ったのか、彩世を見ると弁解した。

「でも、すごいよね。彩世君って、催眠オーラ出してるのかも」

出したのは、催眠オーラじゃなくて、ハルシオン入りの紅茶だ。
 
しかし、睡眠薬の常用者だったとは。
 
ハルシオンは軽い睡眠導入剤なのだ。
 
もっときつい睡眠薬を飲んでいるかもしれない冴子には、効きが甘かったらしい。
 
今度はもっとキツい睡眠薬を医者にもらおうと彩世は思った。
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