白い鼓動灰色の微熱
「よく言われる。オレって癒し系らしい。初めは卑しいって言われてるんだと思ってショックだったんだけど、違うんだよね。癒される、の、癒し、なんだって」
 
冴子は笑った。
 
大柄な体なのに、意外なくらい、高くて可愛い声だった。
 
この子を殺さなくて良かった。
 
彩世は心底思った。
 
そして、同時にその気持ちに、抵抗する、何かが生まれだすのも感じた。

『どうして?殺せよ。』
 
それは父親の声に似ていた。
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