白い鼓動灰色の微熱
電話の交流
彩人は一人暮らしの会社の寮のワンルームで、ベットに大の字になっていた。
頭から、練習中に妨害してきた刑事の言っていたことが消えないのだ。
きっと彩世が何かの形で絡んでいる。
そう思えるので、頭が痛かった。
彩世には、得体のしれないところがある。
本来、ちょっとのほほんとした性格だった彩世を、父が可愛がりながら、ある狂気へと導いていくのを、彩人は傍で黙ってみていたのだ。
それをやめさせれば、次に火の粉がかかってくるのは自分自身かもしれないと思うと、怖くて、彩世を犠牲にした。
そのツケが、今、回ってきたのかもしれない。
明日はライブだ。
彩世を見張る方法はないものか。
それともいっそ、自分が歌わなければいいのかもしれない。