白い鼓動灰色の微熱
「あ。つい。何かね飲み物ってどうしても一気に飲み干さないといけない気がするの。熱いものとか炭酸系は苦手なのに、それでも一気飲みしちゃうんだ」

「そうか。ねえ、開演時間までまだあるから、DVDでも観てかない?」

「あ、観る」
 
彩世は撮りだめした映画のDVDの入ったケースをクローゼットから取り出して、カウンターの上に置いた。
 
清香がそれを楽しげに物色する。

「あ、これがいいな。観たことあるけど。最後を知らないヤツだと気になるもん。ライブに行き損なっちゃう」

「大丈夫だって。オレは観たのばかりだし、どうせ録画だし。持って帰っていいから」

「本当?」

「うん。もういらない」

「じゃあ、これ!」

観たかったらしい一本を手に取ると、清香の後ろ方向にあるテレビの方へ向き直った。

「わ。おっきいテレビ」
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