白い鼓動灰色の微熱
 清香が、軽いうなり声をたてて、動いた。

 うつむけていた体が、上向きになる。

 清香の可愛らしい寝顔が、彩世の理性を増強させた。

 駄目だ。

 彩世は右手を左手で押さえながら、そこを離れた。

 右手以外の体はまだ、彩世のいうコトをきく。

 今のうちに、清香から離れてしまえばいいんだ。

ユニットバスを出、広く作られた廊下をフラフラと両方の壁に交互にぶつかりながら、玄関へ向かった。


 もう少し。



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