白い鼓動灰色の微熱
「さあ。彩人みたいに歌ったことないから」
「じゃあ、今度、歌ってみたらいいのに」
ピンクのラメの付け爪めをした子が言った。
「あ、いいね。ツインヴォーカル」
淡いピンクの爪にもう少し濃いピンクの六角のホログラムをちりばめた子が言った。
「ツインでツインボーカルなんて、いいじゃん」
オヤジギャグ的に言った子は、爪を噛むクセがあるのか、延びた部分がほとんどなく、丸く綺麗に小さなギザギザを描いて爪がかみとられていた。
どの子も、彩世が気持ちを奪われるほどの手をしていなかった。
気持ちを奪われたのは、彩人の彼女だけだ。
さすが双子。
彩世はカップのビールを一気に飲み干すと、立ち上がった。
「良かったら、来て」
自分の名刺を数枚取り出すと、テーブルの上に放り出した。
女の子達が、それを奪い合うようにして群がった。
カップをホールの隅のゴミ箱に投げ入れると、彩世はそこを逃げ出した。
「じゃあ、今度、歌ってみたらいいのに」
ピンクのラメの付け爪めをした子が言った。
「あ、いいね。ツインヴォーカル」
淡いピンクの爪にもう少し濃いピンクの六角のホログラムをちりばめた子が言った。
「ツインでツインボーカルなんて、いいじゃん」
オヤジギャグ的に言った子は、爪を噛むクセがあるのか、延びた部分がほとんどなく、丸く綺麗に小さなギザギザを描いて爪がかみとられていた。
どの子も、彩世が気持ちを奪われるほどの手をしていなかった。
気持ちを奪われたのは、彩人の彼女だけだ。
さすが双子。
彩世はカップのビールを一気に飲み干すと、立ち上がった。
「良かったら、来て」
自分の名刺を数枚取り出すと、テーブルの上に放り出した。
女の子達が、それを奪い合うようにして群がった。
カップをホールの隅のゴミ箱に投げ入れると、彩世はそこを逃げ出した。