白い鼓動灰色の微熱
「おあいにくさま。足があるので駅まで歩いていけてよ」

何だかまともに相手をしているのもうざくて、言うと、

「ごめんあそばせ」
 
言い残してさっさと歩き出した。
 
綾世のことで頭が一杯だった。

彼のレベルでモノを見ると、今までの自分がいかにも卑小に思える。
 
これからは、こんなことは無いんだわ。
 
早足のリズムに合わせるように、心臓も軽やかに弾んだ。
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