白い鼓動灰色の微熱
「電車で来ると思った?オレの家はここから近いんだ」

「あっ、歩いてきたんですか?」

「うん」

彩世はにっこりと微笑んだ。
 
咲の爪はいい感じに伸びている。
 
かじる癖を、必死で抑えたのらしい。

「まだ一時間ある。良かったら、うちでお茶でも飲まないか?」
 
咲は目を輝かせてうなずいた。
 
それは良かった。
 
彩世は咲の手を引っ張った。
 
女は素手だった。

冷たい指が彩世のしている皮の手袋ごしにでもわかる。
 
体中をゾクゾクと血が騒ぎ立てた。
 

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