白い鼓動灰色の微熱
咲の体が、抵抗しようとしているように邪魔をする。

上体をしっかりと抱えなおして、スカートの裾を引っ張り寄せた。

落ちた足は近づいてこず、裾が太ももまでめくれ上がっただけだった。

咲の肉感的な太ももがあらわになる。

けれど、彩世には何の関心も起こさせなかった。

ただ、落ちた足をそのままにしては歩きづらいので、必死で、足を掴み寄せた。

どうにか咲の体は彩世の腕に納まった。

が、咲の体は彩世の腕の中でしなって重力に忠実に頭と両手足を垂らせていた。

やっとユニットバスまでたどり着くと、咲を湯船の中に入れた。

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