白い鼓動灰色の微熱
しかし彩世自身の体は、重い咲の体を抱えて歩いたために、暑いくらいに温まっていた。

彩世はアイスピックが邪魔にならないように、しっかりと奥まで差し入れた。

途中で何かにひかっかって抜けでもしたら、止血栓を失って、ひどい事になる。

もう、飛び散った血の掃除はごめんだった。

彩世は今度は床に転がしていた包帯を取ると、咲の左腕に力一杯巻きつけた。

それからシャワーの水を出し、湯船の外においておいたナイフを取った。

全長三七センチ刃渡り二一センチ。

重量はずっしりと来る四二〇グラム。

四四〇cハイステンレス製のサバイバルナイフだ。

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