白い鼓動灰色の微熱
水のシャワーが、血を吸って瞬間で混ざり合いながら、まるで淡い大量の血が流れているように、湯船の中を這って流れてゆく。

細い咲の手首は、浅い肌を突き破るとすぐに、刃先が骨にたどり着いた。

骨に刃先が触れると、彩世は頭の中の感覚に直結された気がする。

その触感が脳天にキーンと伝わってくるのだ。

気持ちが良いのと不快なのの境界にあるその感覚は、彩世を何ともいえない気にさせる。
 
さっさと骨を削りだす。
 
自分の神経を淡く引っかかれているような、不快感を背中に感じながら。ゴリゴリとそれを削る。

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