白い鼓動灰色の微熱


少し前にも感じたことがある。
 
そして、幼い頃にも一度。
 
ゆったりとした曲に声を乗せながら、心はそちらへ奪われていく。
 
ゾクゾクは、やがて彩人を微熱に誘う。
 
いつもそうなのだ。
 
双子だから、絶対そうとは限らないらしいが、彩世とは、見えない神経でつながれているのを感じる。
 
きっと、今この瞬間、ライブをしている快感も、彩世に伝わっている。



だからかもしれない。

だから、彩世に、何かをさせるのだ。
 
彩人は目を閉じた。
 
体が熱かった。


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