白い鼓動灰色の微熱
バラの中に、プリンセスミチコという種類がある。
 
バラなんて、むせ返るような香りしか持っていないと思っていた彩世に衝撃を与えた花だ。
 
甘く、愛らしく、誰もを魅了するような高貴で可憐な香りを、そのバラはいだいていた。
 
その、バラの香りを彩世は思い出した。
 
清香、か。
 
彩世の心臓が甘く弾んだ。
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