君が嫌いな君が好き
「じゃあ谷野の席は―――・・・
葵崎の隣だな」

え、オレの隣??

いきなり担任の発した言葉に、オレは動揺した。


「よろしくね、葵崎くん!」


にっこりと笑ってあいさつしてくる谷野知綾。

うーん・・・まぁ稚葉弥に似てるっちゃあ似てんのか?

けどやっぱ似てねぇ・・・な。


「おい葵崎!聞いてるか?
谷野にいろいろ教えてやるんだぞ」


「・・・あ、はい」


くっそー・・・めんどくせー。

こんな女の子守りかよ。


「いーねー智クーン♥
キミのだぁい好きな稚葉弥チャンにそぉっくりな知綾チャンの子守りなんてー♥
おいしすぎるなんて思ってんじゃないんですかー???」


・・・また恭平の奴が耳打ちだよ全く・・・。


・・・けど、恭平の言う通りかもしれねぇ。


“おいしい”と感じれば、谷野を利用して―――・・・


谷野を利用して、谷野と付き合えば。


稚葉弥を忘れられる。


忘れたいんだ、稚葉弥を―――――――・・・
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