君が嫌いな君が好き
【稚葉弥side】


あの転校生・・・の子。

さっきから智にべったり。

・・・むっかつく~。

でも智はもうあたしのモノじゃない。

智が誰とべったりしようが・・・自由だから。

ここは素直に身を引くしかない・・・。



「・・・あ!
いた矢野稚葉弥!!!」


「・・・え」


休み時間が始まった予鈴と同時にドアのほうから声がした。

そこには・・・咲南ちゃんの姿。


「咲南ちゃん?
どうし・・・」



「あんた!!!
ほんとにこのまま身を引くつもり!!?」



・・・え?


「・・・今日転校生来たんでしょ?
あんたにそっくりだったんでしょ?
んで智くんにべったりなんでしょ?!
・・・あんた、このままだったらほんとにあの転校生に智くんとられるわよ!!
それでもいいの?!
・・・ううん、わたしは嫌!!!
―――告白、あんたがいたからわたしは失敗した・・・
だから、わたしはあんたに“負けた”の!!
あんたはわたしに“勝った”の!!
その勝者が、今度は“負ける”つもり!?
あんたにそっくりな女に“負ける”つもりなの!!?」


咲南ちゃんが、精いっぱい叫んでることがわかった。


でも、何を言われようとあたしの気持ちは変わらない。


固めたんだ、決意を。


もう一生、龍也以外の人は愛さないって。
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