君が嫌いな君が好き
【智side】


谷野知綾が転校してきてまる1か月が経った。

谷野はすっかりクラスに溶け込んだらしい。

相変わらず、オレにもべったりなわけで・・・。


・・・正直、超迷惑なんだよな。

でもそんなこと言ったらオレはオレで変な目で見られるし・・・。


・・・あー・・・。

こんなとき、稚葉弥になぐさめてもらったら・・・

どんなに幸せだろうか。


「・・・智、くん」


オレの目の前には谷野知綾がいた。

なにか顔が赤くて、悲しい笑みを浮かべている。

・・・なんなんだ?

なんかあったのか?

それで、オレになぐさめてほしいと?

・・・悪いが、絶対ごめんだな。

女でなぐさめてやる奴は稚葉弥だけだ。


「・・・なんかあったのか?
けどオレ今忙しーから、なぐさめんのなら恭平とかに・・・」



「違うの!」



オレの言葉を遮り、谷野はますます顔を赤らめた。
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