colourless
mirror
【舞魅side】


もう。誰も信じられない。

全部が鏡。全部が偽り。



そんな無色の世界で。



私は恋をした。




「けーいたっ」

「ははっ」



どこにもいかないで。



「今度の試合、観にいくよ」

「えっ!いいわよ!遠いし!」

「新体操の全国のレベルも観たいし」



お願い。傍にいて。



「舞魅ちゃん、啓太さんくるんだって?」

「えぇ…嬉しい」

「でも、もうすぐなのにまだ客席にいないね」



お願い。嘘だと言って。



「啓太…私、優勝したわよ…?」

「おめ、…でと、う…」」

「私を本当の名前で呼んでくれるのは啓太だけだった!私を幸せにしたのも啓太だった!ここで別れるなんてふざけないで!」

「…ごめ…ん…な」

「ちょっ…起きてよ!」

「        」

「え…啓…」



最後に言った言葉、あんなの錯覚でしょう。



啓太。


啓太。


啓太。



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