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休み時間になると、またクラスがざわめいた。




「さっきの先生、めっちゃ美人だったな。潤好みじゃないのか?」

「おう…。やべぇな」

「まさかの惚れちゃった?」

「ちげぇよ!」




惚れたのかどうかは分からなかった。
ただ、淡々と喋るあの姿に見惚れていたことは確か。

それに胸のあたりがモヤモヤするのも確か。でもこれは違うと思う…。多分。




「でもあの先生入学式の時、目立ってたよな」

「えっ?何で?」

「はぁ?お前一年の教論代表の言葉、中村先生だったぞ」

「そうなのか!」

「また寝てやがったなてめぇ」

「ははは…」




眠たいものはしょうがないんだ!
と、心の中で反論しておく。

それにしても…美人だった。

恋じゃないことは…絶対だ!絶対。


ただ目がいくだけだ。



自分に言い聞かせている途中だった。

一瞬にして空気が変わったのは。


良い香りが、した。









「ちょっと。そんなところにたまんないで。ただでさえ教室狭いのに」



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