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女が、立っていた。
机と机の間の通り道でたまっていた俺達。それを注意しにきた奴。
明らかに。周りとは何かが違う。
大きな目は少しつっていて吸い込まれそうな瞳。後ろできちっと結ばれた黒くて長い髪。濃くない薄めの化粧。凛とした顔立ち。
真っ白な肌は透き通りそうで細すぎる体。ボンキュボンのボンがひとつもない。
彼女が低めの大人らしい声を出すと全員が彼女に注目した。
このオーラと存在感に、圧倒された。
「分かったなら返事」
「あっ…あぁ」
「悪ぃ…」
ただただ彼女に従うことしかできない。
「それと…。教師はやめた方がいいわよ。後で後悔するのは貴方じゃなくて相手の方なんだから」
無駄な発言は一切しない、と顔に書いてあるかのような彼女が一言告げた。
教師はやめろ。
この言葉は俺の対抗心を酷く燃やしたことに気付いているのだろうか。
彼女は背を向けると、しゃんとした姿勢で歩きだした。
なんだったのだろう…。