愛がほしくて
今、私が居るのはビルの屋上。

苦しみや辛さから逃れるためには、これしかなかった。

でも、実際私にはそんな勇気なかったのかもしれない。

まるで真冬の寒空の下に居るかのように膝がガクガクと音をたてて震える。

私の身体は真夏の暑さなど感じないほどに冷え切っていた。

けれど、ここまで来て引き返す訳にはいかない。

私は、自分自身を落ち着かせるように一度深呼吸をし、目をつぶった。
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