愛がほしくて
彼はこっちへ来いと言うように手招きをする。

私は少したじろいだが、彼の前で飛び降りるわけにもいかないので、素直に彼の元へと近づく。

「なんで死のうとしてたの?」

なんで?私にはそうするしかなかったから……

「俺でよかったら話聞くよ?」

そんなことを言ってくれた人は初めてで、頬にはいつの間にか涙が伝っていた。

「俺には話せない?」

彼の瞳は優しい色を帯びている。
だけど、私は話すことが出来ない。
あんな過去を……
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