ソラと私と記憶の欠片*


その夜俺は、ルナンの元へ歩を進めていた。


「ルナン、俺...「婚約」
その一言に背筋が凍る。
「するんでしょ?婚約...さっき聞いたは」

聞いた、?誰に?


「誰に?」

「風の噂___、てコトにしといて」


おどけて見せた。


「婚約なんてしない、断るよ」

「な、何言って...」

大きく見開かれた、ソノ空色の瞳は確かに動揺し、揺らいだ。

「理由は無い。ルナンでなきゃ意味がないから、ただそれだけ」


目を少し細め、今までで一番美しく 愛しい笑みを浮かべた。

たくさんの涙を溜めながら。


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