【短編】あたしとふたご

○2○



「んwww」


「やっぱりっちゃんママ、料理がうまいっ」


そう言って、晩ご飯を食べにきているのん君は幸せそうに微笑む。
するとその笑顔を見ていたお母さんは、


「もぉーのんちゃん。いつもそうやっておいしそうに食べてくれるから大好き」


何て言って、ウインクをする。


このお母さんは……。
ひぃ君とのん君にホントに甘いんだから。


呆れながらお肉を口に含んでいると、夫婦みたいに話しているのん君とお母さんを見ていたあたしのお兄ちゃんは、馬鹿にしたように笑う。


「すき焼きにうまいもくそもあるか」


そう言ってお箸でお肉をさす。


「肉がうまいんだよ。肉が!」


お兄ちゃんがそう言った瞬間。
お母さんは鍋のお兄ちゃん側にある肉を全部のん君のお皿に乗せた。


「のんちゃん、どんどん食べてね」


そう言って微笑むお母さん。
するとそんなのん君にデレデレのお母さんの行動に腹を立てたお兄ちゃんは、テーブルに手をついて立ち上がった。


「ふざけんなよ!おれの肉を取るな!」


「あんたはしらたきでも食べてなさい」


また始まった。
もう……ご飯の時くらい静かにしてよー。


喧嘩を始めた2人を見て呆れていると、のん君は心配そうにあたしのお皿を覗き込んできた。


「りっちゃんちゃんと食べてる?」


「うん。食べてるよー」


笑って見せると、今度はあたしの顔を覗き込んできた。


「ホント?肉足りてる?」


あたしはのん君に笑顔で頷くと、お母さんが口を開いた。


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