【短編】あたしとふたご
そう思っていると、
「むにゃむにゃ……」
ってのん気な寝言が聞こえてきた。
それを聞いて溜め息をつきながら、あたしは部屋の前についてハッとする。
「のん君鍵は?」
聞いてみるけど、返事は返ってこない。
もぉ!!!
「のん君鍵~!!」
てか重い!
もぉいい加減起きてよ!!
こんな苦しい格好してたら普通起きるでしょ!
どんだけ熟睡してんのよ?
ムッとしていた時だった。
「莉子?」
後ろから声がして振り返ると、キョトンとしているひぃ君が立っていた。
「あ……ひぃ君」
「どうしたの?それ……」
キョトンとしたまま、ひぃ君はあたしの上に乗っかっているのん君を指差した。
あたしはひぃ君が帰ってきた事にホッとして少し目が潤んだ。
「よかったひぃ君ー。早く鍵開けて!!」