【短編】あたしとふたご


「お、起きたの!?う、う、うるさかった!!?」


すごく噛みながらりっちゃんは俺に聞いてくる。
俺はすごく気まずかった。


俺……ちゃんと隠れておけばよかった。


「のど……渇いたから」


「そ、そうだったんだ!!じゃぁ早く飲まないとね!!」


そう答えて、りっちゃんは大きな声で言ってたけど。
俺はもう放心状態だった。


「お前、莉子んちで眠ってて。ここまで莉子が運んでくれたんだぞ?」


何で……。
聖はそんなに平気なんだろう。


聖の余裕の笑みを見て、何となくムッとした。


りっちゃんと両想いになれたから?
だからそうやって笑っていられるの?


「そうだったんだ。……ありがと」


もう頭が目茶苦茶だった。
何もかも理解できなくて、分からなかった。


俺はボーっと考えながら、りっちゃんにお礼を言った。
でも、今自分が何に対してお礼を言ってるのか分からない。


頭の中。
何で?何で?ばっかで、他の事が考えられない。


「んーん!!」


りっちゃんは赤くなった顔でブンブンと横に首を振った。
すると聖はりっちゃんを見下ろして微笑んだ。


「莉子ありがとな。もう遅いしそろそろ帰った方がいいんじゃない?」


「うん!!」


りっちゃんは大きく首を縦に振って、頷くと足早にリビングの扉の方に向かった。
去って行く姿を無意識に見つめて俺はその場に立ち尽くした。


りっちゃん……。
聖……。
俺……ショックでもう何も分かんないよ。




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