【短編】あたしとふたご
あたし達はひぃ君に指定された席に着いた。
あたしは鼻歌混じりにメニューに目を落とした。
「えー♪チョコフェスタだって!ウマそー。迷うねこれは!」
あたしはメニューからのん君に視線を向けて聞く。
「のん君!何にする?」
○○○○○○○○
NOZOMU side
笑顔でそう聞いてきたりっちゃん。
俺はムスッとしながら頬杖をついて、席から見える聖に視線を向けた。
「……そういう事かい」
ボソッと呟いて俺はさらにムスッとした。
すると俺の小さな声が聞こえたらしく、りっちゃんは首を傾げた。
「ん?何か言った?」
「……別に」
俺はさらにムッとして首を振った。
あーぁ。
やっぱ来なきゃよかったかも。
「のん君決まった?」
「……まだ」
そう言ってフイッと視線を逸らすと、りっちゃんは呆れたように笑った。
「てか、のん君。メニュー見てないじゃん」
あ……。
俺はメニューを開いていない事に気付いて慌てて開いて見る。
もう何だっていいや。
やっぱ……りっちゃんと聖って付き合ってんのかなぁ?
「……決まった」
そう言った直後。
りっちゃんは大きく手を上げた。