【短編】あたしとふたご
○4○
「お」
「きたきた」
全速力で走ってあたしは2人の背中を見つけて立ち止まった。
「はぁはぁ……おはよう」
あたしは呼吸を必死で整えながらひぃ君とのん君に挨拶した。
すると感心したようにのん君は言った。
「おはよ。さすが早いね。元陸上」
「莉子が寝坊なんて珍しいね」
そう言ってひぃ君はあたしを見た。
するとのん君が満面の笑みで言った。
「俺がメールして起こさなかったら完璧遅刻だったね」
その笑顔にドキドキしてしまうあたし……。
誰(達)のせいで……寝れなかったと思ってるのよ。
何で2人して普通なのよ。
とくに……。
「ん?りっちゃん?」
こいつ!
のん君!
普通だし……。
りっちゃんって戻ってるし。
あたしだけ……ドキドキしちゃってんの?
けど……。
こうやって3人で登校って久しぶりかも。
「おはよ!」
その声にひぃ君の後ろを見ると、ひぃ君の腕にしがみ付いている井口さん。
あ……。
「おはよぅ」
ちゃんと笑えてたかな。
すると井口さんはあたしに視線を向けて微笑んだ。
「あ、清水さん、おはよー。そうだ。昨日ねー。結構うまくできたんだよ?」