【短編】あたしとふたご
「ひぃ君!」
「あ、莉子。呼び出してごめん」
あたしは4時間目の授業中ひぃ君からメールが来た。
そのメールを見てあたしは急いで裏庭へと走った。
「ううん。大丈夫。どうしたの?」
「ちょっと2人きりで話したくてさ……」
え……。
それって……。
ドキドキ。
心臓が早くなる。
「望の事なんだけど。あいつクラスでどんな感じ?」
「え?」
「ほら……手」
そう言って俯きがちにひぃ君は自分の手を指差した。
「不自由そう?」
心配そうな顔……。
それを見てあたしは笑顔を作った。
「気抜いて反応できないって事はたまにあるけど……。のん君両利きだし、大丈夫だよっ」
「そっか」
そう言ってホッとしたように、悲しそうに……。
ひぃ君は微笑んだ。
そんな事……。
あたしに聞かなくたって。
1番近くにいる……ひぃ君の方が見てる筈なのに。