【短編】あたしとふたご
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NOZOMU side
昼休み。
俺は購買でジュースを買って、教室へと向かって廊下を歩いていた。
その途中。
窓の外を悲しげに見つめている井口さんの姿を見つけた。
何見てるんだろう。
キョトンとしながら井口さんの隣で窓の外を見る。
と、2人並んで話している聖とりっちゃんの姿を見つけた。
ズッ……。
思わずストローを吸う力が強くなる。
「バイトに誘ったのも、急いで告ったのも」
ハッ。
ヤバ、近くに来過ぎた。
そう思って井口さんを見たけど、井口さんは外を見つめたままだった。
「全部あの子に、浦田を取られたくなくて必死だったからなの」
すると井口さんは寂しそうに笑った。
「なのに……全然勝てた気がしない……」
俺もだよ。
俺も……聖には彼女がいるのに、りっちゃんをまだ取られてる気がして。
「何で浦田は……あたしの告白にOKくれたのかな」
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夜。
部屋で1人ゴロゴロしていたあたしの部屋にお兄ちゃんが入ってきた。
「おい莉子ー。望が携帯忘れて行ったから、届けてきて」
って!!!!
「あたしはお届け係じゃないっつーの」
独り言を溢してのん君ちへ走った。
家の前に着いて、あたしはドアノブに手をかける。
あ……開いた。
「おじゃましまーす」
そう言ってあたしは家の中へと入った。