【短編】あたしとふたご
ゆっくりと中へ入っていくと、リビングから声がした。
「俺に気ぃ使ってりっちゃんから離れようとしてる?」
え?
あ……たし??
「何言ってんの?」
そっとリビングを覗くと、ひぃ君とのん君が向き合って話をしている。
「じゃぁ、聞くけど。聖あの子の事ホントは好きじゃないんじゃない?」
え……。
「え?」
ピピピピピピ♪
え!!?
突然あたしの持っていたのん君の携帯が鳴った。
しまった!!
そう思った時、リビングの扉がのん君の手によって開かれた。
「りっちゃん」
「莉子」
同時にあたしの名前を呼ぶ2人。
やばーい。
絶体絶命のピンチ!!!
「「今の話ー」」
「あたし!あの。これ届けてきただけだから!」
そう言ってあたしはパニック状態で携帯をのん君に渡した。
そしてダッシュで玄関へ向かう。
「じゃ!!」
ドキドキ……。
今の何!?
“りっちゃんから離れようとしてる?”
ってどういう意味!?
“聖あの子の事ホントは好きじゃないんじゃない?”
のん君は……何か知ってるの?