【短編】あたしとふたご
次の日の朝。
あたしはマンションの前でウロウロしていた。
そろそろのん君が出てくる時間……。
でもさ、やっぱよくないよね。
ひぃ君の個人的な子とだし。
詮索するのは……よくないよ。
ガチャ。
来た!!!
「のん君!昨日の事なんだけど!」
って、ハッ!!
あたしは目の前に現れたひぃ君に固まった。
ぎゃぁぁぁぁぁ!!!
またパニック。
すると目を伏せてひぃ君は口を開いた。
「望ならとっくに家出たよ」
「そ、そうなのぉ……」
って感じ悪いよね。
本人に隠れて駄目だよね。
あたしはひぃ君の隣を肩を落として歩く。
「莉子」
ビク!!?
突然声をかけられてあたしは足を止めた。
するとあたしをチラッとひぃ君は見た。
「昨日の話……聞いたよね」
ええ!!?
「き、聞いたっていうか……よく聞こえなかったぁ」
目を逸らしながら言ってチラッとひぃ君を見ると、ひぃ君は無表情であたしを見ている。
……うぅ。
「聞きました」