【短編】あたしとふたご
そう俯きながら返事をすると、ひぃ君は黙った。
……重い沈黙ぅ。
気まずくて口を開こうとしたら、先にひぃ君が口を開いた。
「……確かに、莉子から離れようとしたってのはあるよ」
「何で!?」
何でよ……。
「オレにとって、望も莉子も大切な存在。だからその2人がうまくいったらいいなって」
そんな!!
「勝手に決めないでよ!」
何でひぃ君が勝手に決めるの!?
「あたし……あたしは、ひぃ君の事ー!!」
「でもだからってその為に誰かを利用しようなんて思ってないよ」
そう言ってあたしを見下ろした。
「オレはちゃんと井口の事好きだよ」
……好きって言わせてくれなかった。
あたしの気持ち言わせてくれなかった。
「向こうは何か、誤解してるみたいだけど」
ひぃ君……。
涙が出て来たよ。
するとひぃ君は眉を下げてあたしの頭を撫でてくれた。
「……ごめんな、莉子」
ひぃ君……。
分かってたよ。
そんなの。
あの2人を見てたら、あたしの入る隙なんてないって事なんか。
最初から分かってたよ。
分かってた……。