【短編】あたしとふたご

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NOZOMU side


放課後。
俺はりっちゃんの傘に入れてもらった。


「今日2回も聖に間違われたー」


俺はムッとしながらりっちゃんに言う。


入学当初に比べたら、間違われる回数も減ったけど……。
まだよく間違われる。
髪の色だって……その為に変えたのに。
間違われるのが嫌で、俺は入学と同時に茶色に染めた。
でも……。
その効果はあまりなかった。


何でだろう?
髪色も違うし。
性格も、声も違うし……。
なのに何で間違うんだろう。


ムーッとしながら考えていると、そんな俺を見てりっちゃんはクスクス笑いながら言った。


「多いねー」


って言うから、俺は独り言のように呟いた。


「やっぱ違う高校にしとけばよかったなぁ」


もともと違う高校にしようかなって悩んでたんだ。
でも結局、聖と同じととを選んだ。


「違うとこ考えてたの?じゃぁ、何でのん君は同じ高校選んだの?」


俺を見てそう聞いてくるから俺はりっちゃんを見て微笑んだ。


ホントはね?
俺……りっちゃんがこの高校受けるって言ったからなんだよ?
りっちゃんと一緒にいたかったから。
りっちゃんの笑顔を見ていたかったから。
だからなんだよ?


でも……。
りっちゃんが聖の事好きだって事知ってたから。
俺は眉を下げてフッと笑った。


「……さぁね」


言える訳……ないよ。
言ったら壊れちゃうでしょ?
この関係も……。
りっちゃんが俺に笑ってくれなくなっちゃうかもしれないでしょ?


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