【短編 幸福論】
「また涼子先輩と会ってたでしょ。涼子先輩の香水の臭いがする。」

ふて腐れる真奈美の頭を徹也は優しくなでた。

「お前は俺の何がいいの?」

「えっ?」

唐突に変な質問をされた真奈美は困った顔をした。

徹也はまたしても質問の答えを聞くまえに、その場を離れた。

答えはいらない。

容姿を褒められても、それは個人の好み。

性格を褒められても、それは偽り。偽られた性格を褒められているだけ。

思春期で情緒不安定になっているだけなんです。

何が正しいのか分からないんです。
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