【短編 幸福論】
私は溺れています。

この時代に。

私は病んでいます。

人間関係に。

いまから2年前、父親が亡くなった。

支えにしていた物を失う怖さ。

絶望。

癒してくれたのは当時付き合っていた女だった。

夜通し彼女を抱き続けた。何度も何度も。

彼女に疲れがみえてきても抱き続けた。

まるで凶器。

すべての現実を忘れる為に抱き続けた。

エクスタシーの絶頂の中、考えた。

幸せってなんだろう。
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