君だけを
「ちょい待ち」
佳奈の肩を掴んでいる男の手を掴みながら言う。
「お前なんなんだよ!?」
男はいきなり現れた僕に動揺している。
佳奈は…目を点にして僕を見つめる。
「あのね、こいつ俺のだから」
そう言って、佳奈を僕の方へと引き寄せた。
僕に抱きしめられている格好になっている佳奈は、ただ黙っている。
今、何を思ってる?
嫌かな?
離れたいって思ってる?
男はそんな僕たち二人を見て
「くそっ!やってらんねーよ」
そう呟いて去って言った。