君だけを

でも佳奈はそんな僕の返事を聞いて
いきなり涙目になった。


そして



「うそ!あたし見たんだよ?2組の静ちゃんに告られてたの」



涙目のまま立ち上がり、僕を一点に見つめそう言った。




「見てたの?」


「見えちゃったんだよ…」



へなへなとまた佳奈は座り込んだ。










たびたび、告白されることはあった。


最初の方は『なんで俺?』って思ってて。


動揺しつつもやっぱり嬉しかった。




でも、僕は佳奈が好きだから。


だからいつも断ってきた。



そして今日もちゃんと断った。



僕にとって告白されることはすでに日常茶飯事になっていたから。



さっきの佳奈の質問

『なにもない』

って言ってしまったんだ。




< 7 / 21 >

この作品をシェア

pagetop