君だけを
でも佳奈はそんな僕の返事を聞いて
いきなり涙目になった。
そして
「うそ!あたし見たんだよ?2組の静ちゃんに告られてたの」
涙目のまま立ち上がり、僕を一点に見つめそう言った。
「見てたの?」
「見えちゃったんだよ…」
へなへなとまた佳奈は座り込んだ。
たびたび、告白されることはあった。
最初の方は『なんで俺?』って思ってて。
動揺しつつもやっぱり嬉しかった。
でも、僕は佳奈が好きだから。
だからいつも断ってきた。
そして今日もちゃんと断った。
僕にとって告白されることはすでに日常茶飯事になっていたから。
さっきの佳奈の質問
『なにもない』
って言ってしまったんだ。