君だけを

「圭の馬鹿!!」



パーッン



涙を流した佳奈は僕に怒鳴りつけ、しかもビンタを食らわし部屋を出て行った。



しばらく放心状態の僕。




叩かれた頬がジンジンする。



佳奈め…


馬鹿力出したな。





でも、佳奈泣いてた。



佳奈の泣き顔を見るのは久しぶりで。



小さい頃あいつのペットの鳥のピッピが死んだ時以来だった。



それ以来、泣いたことなんてなかったのに。




酷く僕の胸がきしんだ。



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