Anniversary.
ちょっと文句を言いながらだけど……。

ちゃんと手を貸してくれる。


「ありがとう」


キュッといっくんの指を握った。


「なんだ、寂しかったのか」


「違うし」



嘘。 本当は寂しかった。

でも…… こんなことは言わない。


からかわれて終わりだ。



「寂しかったら“寂しい”って素直に言えばいいのによっ。 いくらだってなんとかしてやるよ」


あたしが握っていた指を離して。

あたしの指と、いっくんの指が隙間無く、絡められた。


満足そうな顔をして、あたしを見上げてきた。



「これなら、寂しく無いだろ?」


ガッチリと握られているから、簡単には離れることが出来ないな。


強くなく…… 優しく握られていて。

なんだかいっくんに守られているみたい。




「お昼、何にしようかなー」


「あっ、お前! 話を逸らすな」


なんだか恥ずかしいんだからしょうがないじゃん。





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