Anniversary.
――― タタタッと駆け寄った。


「いっくん!」


「んあ…… まお!」


あたしが話しかけたからって驚かないでよ。
あたしだっていっくんに話しかける時があるでしょ?


「どうした?」


いっくんの横に並び、一緒にバスに向かう。


「あのねっ!」


こんなハイテンションで聞くような内容じゃないけど……


「何かあった?」


「……… 何かって?」


あれっ? 伝わってない。
あたしの言い方が悪いのか。


「なんか朝から元気無いよ?」


「元気? あるけど、どうした?」


話した感じ…… 元気は元気みたいだ。


でも、たまにボーッしているんだよね。



「それは回りの風景を見ていたからじゃないか?」


「そうなの?」


確かに……
初めて来る土地だもんね。


旅行前にいくら調べておいたと言っても。 実際自分の目で見ると違うから、そっちに全て持っていかれる。





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