Anniversary.
いっくんは「気にするなっ」って言ってくれるけど。

あたしと二人で出掛けた時は大抵、理央ちゃんとあたしの分の“お土産”を買ってくれる。


「いっくんは食べないの?」


「いらない……。 コーヒーだけで充分」


そっか。

いっくんは紅茶よりもコーヒー派だからね。


あたしはいつも通り、ミルクティーを頼んで貰ったので、大満足。


さっきからいっくんは足を組んで、コーヒーを啜(スス)っている。

視線はさっきの“メンズ・ショップ”で貰った広告。


一点を見つめるその顔に、妙に…… 胸が鳴る。



「…… 何、赤くなってんだ?」


あたしの視線に気付いたのか、不意にあたしに視線を向けてきた。


「何でもない」


「わけわかんねー、やつだな」


鼻で少し笑って、また広告に視線を移す。


なんだか、かっこよく見えるのは…… 気のせい?





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