Anniversary.
いつも余裕でいて。 完璧ないっくんが、あたしを抱きしめくらいで緊張とか……。


「えへへ」


「……… 笑うなよ」


バツの悪そうな声が聞こえたけど……。ギューっと強く抱き着いた。


こんないっくんを知っているのって、あたしくらいなんだろうな。

いっくんに片想いしている子には、悪いけど……。


「ずっと、側にいて」


あたしを見捨てないで。

あたしに嫌気をささないで。


「当たり前。 離れる方が、無理だ。

………だからな、まお。
ゆっくり、まおの気持ちを育ていこうな」


あたしのペースに合わせてくれる。

今はいっくんへの気持ちをゆっくり育てている大切な時間。


少しずつ知る、いっくんをあたしは“好き”になる。


「まおさ……」


「ん?」


少し、緩くなったから、顔を上げた。





< 60 / 135 >

この作品をシェア

pagetop