君の名は灰かぶり
浴室に入り順序良く、赤に染まった
白いワンピースを脱ぎ捨てると、
サクヤの白い肌に長い黒髪が
サラサラと肩を通じて
なだらかに移動していった。
──…カチャッ、
手慣れた様子で
シャワー室に入ったサクヤは、
キュッキュッと蛇口を捻る。
すると、シャァァァと温水が
勢いよく穴という穴から噴射し出す。
そして、
赤に染まってく温水達は
排水溝へと流れていくのだ。
サクヤは、その様子を横目で見ていた。
──…この温水になってしまいたい。
この体に染み付いた血が
温水に融けだしていくのならば、
いつか自分も融けることが
出来きるんじゃないかな?
……なんて、と
サクヤは、表情をしかめる。
───…どうして?
ボクはこんなに消えてしまいたいと
思うんだろう───…?
サクヤはそんな疑問を抱えながら
血を洗い流していた。