見事に、振られました。
見事に、振られました。
「ナグサメテクダサイ」


 出迎えてくれたその家の主は、突然の一言にも動じず「はいはい、入りなよ」って言ってくれた。

 いつの間に大人な対応できるようになったんだか。

 「お茶を入れてやるから」と言って台所に向かうその背中を見送って、ぱたり、床に倒れた。

 真新しいカーペットは気持ちいい。もふもふしたい。


「おい、寝転がるならちゃんとコタツに脚は突っ込んどけよ。パンツ見えてる」

「スケベ、エッチ」

「……」


 おずおずとコタツに足を突っ込んだ。
 コタツって素敵。ぽかぽか。


「マフラーとかとれよな」


 そう言って、私の首からマフラーをひったくった。

 モノトーン好きな私には不釣り合いな派手な色のマフラー。

 彼が好きだと言っていたから、買ったマフラー。


「……それ、タケにあげる」

「はぁ?いらねぇし、女物だろ」

「じゃ、将来の彼女に」

「お下がりなんかあげられるか」
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