リアルな秘めゴト
「おはよう希美!」
「あ、るかおはよう!」
そう挨拶しながらも、希美の視線は、何かに釘付けだ。
希美の視線の先を追ってみると、あたしが今朝二冊も購入してしまった、あのマンガ誌の姿が。
一瞬ドキッとしたが、あたしは平常心を装いながら、希美に話を振ってみる。
「あ…“月間スターズ”、希美買ったんだ?」
「うん。久しぶりに、河原ルカの新作読み切り載ってるしね。読み終わったら、るかも読む?」
「あ…あたしはいいや!」
動揺を隠すように笑って見せると、希美はよっぽど集中しているらしく、言葉を返さなくなった。
少しの沈黙が、あたしの緊張を増幅されていく。
…希美は、今、何を思っているのだろう。河原ルカを、どう評価してくれるのかな?
.