リアルな秘めゴト
「少し前から思ってたけど、最近の河原ルカの作品の恋愛模様は、いかにも“創った”感じがしてイヤなの」
「…どういう事?」
「リアル感がないって事。いかにも“マンガです”って感じがする。るかもそう思わない?」
同意を求められても、困る。
だって希美がダメ出ししているマンガ家が、目の前にいるのだから。
「あたしは…よく分かんないや」
「るかは分かんないか。そうだ!るかが代わりにマンガ描いてやりなよ!だって“河原ルカ”と名前同じだし?」
アハハと笑い出す希美を見ていられなくなって、あたしはそっとドアの方に身体を向けた。
「るか?」
「ゴメン希美。体調悪くなったから、早退するね」
「ちょ…大丈夫!?」
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